絵本とバイリンガル子育てのペリカン文庫

子育てを通して出会った絵本や英語の教材を紹介します。 バイリンガル教育のヒントにもどうぞ。

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Dr.Seuss のおもしろくて深い世界

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Dr.Seuss(ドクター・スース)ほどアメリカでは誰もが知っている作家でありながら日本ではほとんど知られていないという絵本作家は珍しい気がします。アメリカの多くの小学校では彼の誕生日(3/2)にお祝いのイベントをするぐらいです。娘たちの学校でも毎年図書室の先生が代表作”Cat in the Hat”の赤と白のシマシマ帽子を被ったネコに扮して、絵本の読み聞かせをしてくれました。彼の作品はたくさんありますが、どれも独特なイラストに多様なRhymingのリズミカルの文章が特徴です。“Green Eggs and Ham”ではとにかく”Sam-I-am”がどこまでも追いかけてきては緑色のたまごとハムを食べるように勧めるという、お話しとしてはヘンテコですが、そのリズミカルな文章としつこく追いかけてくる様子が見事にマッチしてとても愉快です。Dr.Seussは子どもたちのリーディングスキルをあげる目的で作品(特にBeginnerシリーズ)を書いたそうなので教育現場で用いられるのは納得ですね。そして日本であまり知られていないのもそこが理由だと思います。つまり翻訳だとイラストは楽しめても肝心の言葉遊びがなくなり面白さが半減してしまう。なのでぜひこれは英語で楽しんでください。音声つきの絵本もたくさんでていますし“How the Grinch stole Christmas!”をはじめアニメーションになっているものもあります。そうそうこの緑で偏屈なGrinchも前述のCat in the hat同様にDr.Seussのアイコン的キャラクターです。

最後に次女がDr.Seussの中で一番好きな作品”The LORAX”を紹介しますね。このお話しは一連の彼のSilly Storyな内容ではなく、環境破壊に対する警告のようなメッセージ性の強いものです。豊かな森にきれいな湖、たくさんの動物たち。かつて楽園だったところが今や木々は切り倒されて湖は枯れ果て生き物は何もいない。どうしてこんなことになったのか?そして森につながる通りの名前になっているLORAXって誰なのか?それが森を壊した張本人”Once-Lar”によって語られます。言葉遊びに色鮮やかなイラスト、かわいいキャラクター、彼の作風はそのままに、現実的な森林破壊とそれを支えるエゴとその結果を表現しています。LORAXは小っちゃくてモジャモジャなアザラシのような小さいおじさんのような不思議ないきものです。切り株から突如ひょっこりと現れてどんどん森を壊すOnce-Larに警告しますが破壊は止まりません。そして最後の木が倒された時、荒れ果てた森で一人になったOnce-Larに憐れみの表情を浮かべ、いなくなってしまいます。次女は良くこのLORAXのいなくなった時のモノマネをしていました。LORAXは自分でおしりをヒョイとつかんで空に飛んでいってしまうんです。切ないシーンなのにユーモラスな表現はさすがです。そしてお話しは最後小さな小さな希望を見出したところで終わります。

う~ん。今回また改めて読んでみて彼の作品の奥深さを感じました。おもしろくて深いDr.Seussの世界を楽しんでくださいね!

*わが家にあるSix by SeussはメジャーなGRINCH, LORAX, HORTONのお話しに加えて初期の作品も入っていてオススメです。