絵本とバイリンガル子育てのペリカン文庫

子育てを通して出会った絵本や英語の教材を紹介します。 バイリンガル教育のヒントにもどうぞ。

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No, David!   by David Shannon & ROTTEN RALPH  by Jack Gantos

やっちゃいけないのは分かってる。分かってるからこそ、ほかの子がやっているちょっと困ったことを見てクスクス笑っちゃう。そんな本の紹介です。

No, David!はタイトルそのまま、やんちゃな男の子デイビッドがお母さんに「やめなさい!」と言われる様子が次から次へと描かれています。例えば、食べ物で遊ぶとか、家の中で野球をしたり、お風呂上がりに洋服を着ないで通りに飛び出していくとかetc…特に男の子のお母さんには読んでいて「あるある!」という感じだと思います。実際この本は作者のDavid Shannoが幼少期に、彼がやって叱られてしまったことを絵に描いて”No, David”という一冊の本にしていたものが元になっているそうです。NoとDavidが当時彼が唯一書けた単語だったとか。

ずっとNo!と注意され続けているデイビッドですが、最後にお母さんに “Yes, David. I love you!”としっかりハグしてもらうのでとても暖かくこの本は終わります。子ども時代の手作り絵本を大事に取っておいて、大人になって作家となった息子にそれを送ってくれた作者のお母さんの優しさと重なります。

そうそう、この絵本は私にとって、子どもを注意するときに英語ではそういう風に言うのか~と参考になりました。鼻をほじっている子どもに何ていうかって、学校では習わなかったし、さすがに私自身は大人になってから海外に行ったのでそんな注意を受けることもなかったので(笑)

もう一つの本、”Rotten Ralph”のラルフはやんちゃではすまされません。Rotten, 腐ってますから。日本語版だと「悪たれラルフ」で童話館から出ています。大きくて赤くてちっとも言うことを聞かないネコのラルフ。でも飼い主のサラは彼をとても愛しています。ところがさすがにやり過ぎてサラの両親は彼をサーカスに置いていきます。サーカスでさんざん辛いめにあった後、最後はサラの元へ戻るのですが、彼は相変わらず悪たれのままで「めでたし めでたし」というあえて反省なし(?)のエンディング。もしかすると、そのままの君でいいよというテーマなのかと深読みするくらいです。

この絵本の不思議な魅力は、その独特な色使いにノッペリとしたヘタウマ感覚の絵だと思います。ラウル以外にはあまり表情がないところがさらにラウルの悪さを引き立たせています。

我が家では続編の”ROTTEN CHRISTMAS”の方が人気があります。お友達のネコのパーシーを預かるのですが、ラウルはパーシーに嫉妬しパーシーに意地悪三昧。その陰湿的じゃない突き抜けた意地悪が笑いを誘うんです。ひょっとして、ちょっとブラック好きな親子にお勧めなのかな~