絵本とバイリンガル子育てのペリカン文庫

子育てを通して出会った絵本や英語の教材を紹介します。 バイリンガル教育のヒントにもどうぞ。

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プラス評価の子育て The Berenstain Bears

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The Berenstain Bears by Stan&Jan Berenstain

ちょっとお調子者のパパベア、しっかり者のママベア、やんちゃなブラザーベアに、お茶目なシスターベアの4人(?)家族が主人公のシリーズです。各ストーリーごとに、子どもたちが生活の中でよく直面する課題をテーマにしていて、それに対して家族が知恵と愛情を持って解決していく様子が描かれています。例えば、暗闇が怖くて夜眠れないとか、散らかった子ども部屋の片付け、スーパーマーケットで何でも欲しがって親を困らせる、アメリカらしくシッターさんとの関係とか、実に様々なテーマがあります。親子で一緒に読みながら、それぞれの立場で考えることができます。

その中で、私がとても感心した作品を一つ紹介します。タイトルは”The BAD HABIT”(悪いクセ)です。シスターベアには指の爪をかむというクセがあり、指の爪全部をかんでしまい指先がヒリヒリするほどです。バンドエイドを巻いてみても気になるし格好悪いしてで外してしまいます。シスターネベア本人も止めたいと思っているのですが、無意識にやってしまうので困ってしまいます。そこでパパとママベアは話し合い、爪かみはナーバスなクセだから叱ったり脅したりするとかえって良くない。じゃあ爪をかまないで一日を過ごすことができたら、Dime(10セント硬貨)あげようということにします。ただ爪をかまないだけでDimeがもらえるとシスターベアは大喜びしますが、いざ始めてみると全然うまくいきません。かえってできないことで落ち込むばかりです。そこで困ったママは、子育ての先輩、グランマベアに相談します。グランマベアは、Dimeのアイデアは良いけど、ちょっとやり方を変えてみたらとアドバイスをしてくれます。そのアドバイス、見事にうまくいきます。まず、一日の終わりではなく、一日の始めにシスターベアにコインをあげます。それもDimeコイン1枚ではなく、Pennyコインを10枚です。つまり一本の爪に対して1Pennyです。どちらももらえる額は10セントに変わりはないのですが、今度のやり方は何本かかんでしまって夜その分を返したとしても、何枚かのPennyはもらえるわけです。そして朝コインをもらって、ポケットに入れておくと、じゃらじゃらと音がして、日中に無意識にかんでしまおうとしたときに思い出させてくれるのです。小銭が少しずつボトルにたまっていき、シスターベアは自信をつけていきます。そしてついにクセが収まるのです。

これを読んだ時に、私はやらなかったらご褒美をあげるというやり方に感心しました。そしてさらにグランマベアのアイデアで”all or nothing”ではなく努力した分を認めるという形にもです。日本的発想であれば、やってしまったら罰を与えるというところだと思います(指に苦いものを塗るとか、かんでいたら指先をたたくとか)。もちろん悪いことをしたときに罰を与えることは必要ですが、悪いクセを止めるというこのケースでは自信をなくし逆効果になるだけでしょう。スタート地点がマイナスで、できてようやくゼロになるという評価の仕方が日本では一般的だと思います。でもスタートはあくまでもゼロで、できたらプラスとして評価するというやり方は子どものセルフイメージを健全に高めるものだと思います。子どもたちをアメリカンスクールに通わせていますが、大きな教育方法のちがいはここかなと思うことが多々あります。あくまでもプラス評価で!子育てしたいですね。

2016-05-21 11.28.15