これぞディティール派 スモールさんシーリズ
スモールさんシリーズ ロイス・レンスキー
まじめで勤勉な主人公スモールさんが、パイロットや農場主、カウボーイなどそのシリーズごとに色んな職業に就いて、その黙々と働く姿が描かれている絵本です。ドラマ性やストーリー性はほとんどなく、例えばパイロットの「ちいさいひこうき」では、機体の説明から始まり、格納庫から飛行機を出してガソリンを入れて、そこから何を動かしてどうやって飛ばすか、飛んでいる間も操縦方法など、とにかく細かく描写されています。私も読みながら何度か気が遠くなりました(笑)だって、「エアポケットにおちて 9メートルおちました」って、そんなこと気になるの?でもいるんです。気になる人が。我が家には3冊ありますが、最初に買った「カウボーイのスモールさん」はストーリー派の長女が欲しがったものでした。というのも、そのとき彼女はトイストーリーのジェシーが大好きで、「将来カウガールになる!と言っていました。でもいざカウボーイの仕事って何するの?と聞かれても、日本人にはピンときませんよね。でもスモールさん、さすがです。装備品から始まって、その生活ぶりがよくわかります。これは日本語でカウボーイの生活が描かれている貴重な絵本と言えるかもしれません(笑)
その後カウガール熱が冷めた長女はもうスモールさんには興味なしでしたが、そこにディティール派の次女の誕生で、スモールさんを今度はシリーズ全部読むことに。さすがに全部は買えないので図書館で借りて読みましたが、一番のお気に入りを買ってあげると言うと、選んだのは「スモールさんはおとうさん」でした。これは福音館ではなく、絶版された良本の再版に取り組んでいる童話館から出ています。最初のページに作者が書いているように、読者の子どもたちからの「スモールさんには おくさんとか こどもとか いないの?」という質問に答えたものです。おとうさんが仕事にでかけて帰ってきて、家事を手伝って、土曜日はマーケット、日曜日は教会へとこれまた淡々とした日常生活の様子ですが、奥様は魔女の時代さながらの古き良き時代のアメリカの生活ぶりが読んでいて楽しいものでした。